地域の魅力を、どうすれば“応援したくなる物語”として届けられるのか。
今回ご紹介するのは、埼玉県狭山市で立ち上がった「狭山シグネチャービールプロジェクト」のクラウドファンディング制作実績です。プロジェクトでは、狭山市民みんなで育てたホップを使い、「地元の人が誇れる、ストーリーのあるビール」をつくる挑戦が行われました。クラウドファンディングでは目標金額100万円に対して150万5,000円を達成し、129人の支援を集めて終了しています。
地域活性化を目的としたクラフトビールプロジェクトとは
このプロジェクトを立ち上げたのは、埼玉県狭山市で地域活性化に取り組む松田陸さんです。狭山の人をつなぐカプセルトイ「町ガチャ」や、大人と子どもが乾杯するビアフェスなどを通じて、日頃からまちを盛り上げる活動を行っており、今回の挑戦では「狭山にもうひとつの誇りをつくりたい」という想いから、狭山シグネチャービールプロジェクトがスタートしました。ページ内でも、狭山茶の歴史、七夕まつり、入間川沿いの自然、地域のあたたかな空気感など、狭山というまちの魅力が丁寧に語られています。

この企画は、ただ地元産の素材を使ったビールをつくるだけではありません。狭山で育てる初挑戦のホップを使い、地域の人が関わりながら、“語りたくなるビール”を生み出すことが大きなテーマになっていました。ページ内でも、「このビールね、実は〜」と誰かに話したくなるような、背景ごと愛される一杯を目指していることが明確に打ち出されています。
クラウドファンディングページ制作で求められたこと
こうした地域プロジェクトのページ制作で難しいのは、単純に商品スペックを並べるだけでは魅力が伝わらないことです。今回必要だったのは、「ビールを売るページ」をつくることではなく、「なぜこの挑戦をするのか」「誰とつくるのか」「完成したあとにどんな景色が待っているのか」まで含めて伝えることでした。
しかもこのプロジェクトには、ビール現物のリターンだけでなく、初開栓イベントへの招待、実際の醸造体験、企業・団体スポンサー枠など、さまざまな関わり方が用意されていました。つまり、単なる購入導線ではなく、「支援=参加」と感じられるページ設計が求められていたのです。

デザインと構成で意識したポイント
今回のクラウドファンディングページでは、商品訴求よりも先に、地域の想いと発起人の熱量が伝わる構成を意識しました。読み手がまず「狭山ってどんなまちなんだろう」「この人はなぜこの挑戦をしているんだろう」と自然に引き込まれ、そのうえでビールの魅力や参加方法にたどり着く流れです。地域性のあるプロジェクトでは、この順番がとても重要だと感じています。
また、このページで特に印象的だったのが、「語りたくなるビール」という考え方です。ページには、香水店での体験をヒントに、商品そのものだけでなく、その背景にあるストーリーまで人に伝えたくなる状態を目指したことが書かれています。さらに、HAZY LABOのある新狭山の記憶や香りを手がかりに、「スッキリと飲みやすく、それでいて香り高い一杯」を目指す方向性も示されていました。こうした感覚的な魅力を、言葉として整理して見せることも、このプロジェクトにおける大切な要素だったと思います。

HAZY LABOとの協業で生まれた地域性のあるビール開発
今回のビールは、狭山市屈指のクラフトビール醸造所「HAZY LABO」の全面協力のもと、HAZY LABOの新商品ラインとして開発が進められました。地元の醸造所と連携しながら、狭山で育てたホップを使い、地域の人が関わる形で進行していくことで、単なるコラボ商品ではない“地域の物語を運ぶビール”としての説得力が生まれています。
さらに、プロジェクト内では「ただつくって終わり」ではなく、完成後もまちとの接点を育てていくスケジュールが示されていました。2025年12月にホップを収穫し、2026年1月にビールが完成、2026年2月にはリターン発送や狭山市内でのお披露目イベントを予定し、その後も新狭山マーケットへ毎月出店予定とされています。完成品を届けるだけでなく、その後も地域との関係が続いていく設計になっている点が、このプロジェクトの魅力です。

リターン設計から見える参加型クラウドファンディングの工夫
リターン設計にも、このプロジェクトらしさがよく表れていました。ビールを受け取るだけでなく、初開栓イベントで関係者と一緒に乾杯できるプラン、HAZY LABOで実際の醸造体験ができるプラン、限定ラベルに企業ロゴや名前を掲載できるスポンサー枠など、支援額に応じて関わり方が広がっていく構成です。こうした設計によって、応援する人が“お客さん”ではなく“仲間”として参加しやすくなっています。
地域活性化系のクラウドファンディングでは、モノの魅力だけで支援を集めるのではなく、「私はこの物語の一部になりたい」と思ってもらえるかどうかが重要です。その意味で、今回のリターン設計はとても参考になる事例だと感じます。
クラウドファンディングの成果
このプロジェクトは、2025年8月30日に募集を開始し、2025年9月30日に募集を終了しました。最終的には129人から合計1,505,000円の支援を集め、目標金額100万円に対して達成率150%を記録しています。ページ内では、第一目標達成後にネクストゴール150万円にも挑戦しており、PR動画制作を通じて、今後さらに多くの人にこの取り組みを知ってもらいたいという展望も語られていました。

また、資金使途としては、ビール製造費、ラベルやパッケージのデザイン費、イベント開催費、プロジェクト運営費、広報・宣伝費などが明記されており、単発の企画ではなく、継続性のある地域プロジェクトとして運営されていることが伝わります。
地域プロジェクトのページ制作で大切だと感じたこと
今回の制作実績を通して改めて感じたのは、地域性のあるプロジェクトほど、「何をつくるか」だけでなく「なぜそれをつくるのか」を丁寧に言語化することが大切だということです。特産品、観光資源、まちづくり、イベント、地域ブランド。どれも素材そのものは魅力的でも、その背景にある想いや人の顔が見えないと、共感は生まれにくくなります。
だからこそ、クラウドファンディングページやLPでは、情報を並べるだけでなく、読み手の気持ちが動く順番に構成することが重要です。今回のように、発起人の想い、地域との関係性、商品の魅力、参加の方法、完成後の未来までを一連の物語として見せていくことで、支援したくなる理由が自然と積み重なっていきます。

クラウドファンディングページ制作や地域ブランディングをご検討の方へ
地域資源を活かした商品づくりや、ストーリーのあるブランド立ち上げ、クラウドファンディングページの制作をご検討中の方は、ぜひご相談ください。
想いはあるけれど、うまく伝えきれない。
地域の魅力を、ただの紹介で終わらせたくない。
応援したくなる形で、ページや世界観を整えたい。
そんなときこそ、言葉と構成とデザインの力が活きてきます。
背景にある想いを整理しながら、伝わる形へと丁寧に落とし込んでいきます。

