Vol.01「水の里しらやま様」地域創生×ブランディングのフィールドリサーチ・現地ワークショップを開催しました|福井県

目次

水の里しらやま様 地域ブランディングプロジェクト

北陸新幹線が通る「JR越前たけふ」駅。都内から約3時間で到着しました

フィールドリサーチと対面ワークショップから始まる、地域の価値の言語化

福井県しらやま地域で進行している「水の里しらやま」様の地域ブランディングプロジェクト。
本プロジェクトは、2024年に土台づくりとなるフェーズからスタートし、2025年にはロゴやホームページの制作へと展開していきました。

依頼主は、「水の里しらやま」代表の岡本様。
きっかけは、ドマノマドのメンバーの地元がしらやまであったことでした。外からの視点と、地域に根ざした想い。その両方を大切にしながら、地域の魅力をどう言語化していくかを考えるプロジェクトが始まりました。

この年に行ったのは、コンセプトをいきなり作るのではなく、地域の価値の源泉を丁寧に見つけていくための土台づくり。フィールドリサーチと対面ワークショップを通して、地域の中にすでにある魅力を言葉にしていく工程からスタートしました。


現地に入って感じた、しらやまという地域の空気

初めてしらやまを訪れたときに感じたのは、「日本の原風景のような懐かしさ」でした。
山や水、静かな集落の景色。時間の流れが少しゆっくりと感じられるような、安心感のある場所です。

特に印象的だったのは、水の美しさ。
その環境だからこそ、コウノトリが暮らしているという話を聞き、自然と共存してきた地域の豊かさを感じました。ご飯が美味しいのも、水の恵みがあるからこそなのだと、現地で過ごす中で自然と実感します。

そして、もうひとつ強く感じたのが、人の気質です。
若い世代も、ベテランの方も、新しいことに挑戦したいという意欲がとても高い。地域を良くしたい、何かを始めたいという前向きな空気が、しらやま全体に流れているように感じられました。


1日目:地域を知るためのフィールドリサーチ

プロジェクトの最初の一歩として行ったのが、しらやまを象徴する場所を巡るフィールドリサーチでした。
ただ観光地を回るのではなく、地域の構造や文化、暮らしの背景を体感することを目的としています。

訪れた場所は多岐にわたります。

途中、野生のコウノトリを観察することができました

越前たけふ駅の道の駅、白山さんち、勝蓮花の滝、こうのとりPR館、こうのとりの巣塔、スイカ畑、旧小学校分校を活用したほたるカフェ、太陽キャンプ場、解雷ヶ清水、段田清水、ハートの滝壺、そして越前温泉「日本海」。

こうのとりPR館にて、しらやまの自然とコウノトリとの関わりの歴史に触れました
日本の名水に選ばれる解雷ヶ清水、段田清水へ。この地に伝わる昔話も伺いました
宿泊は古民家を活かしたホッとするお宿「白山さんち」ご飯も絶品です。

自然、観光、教育、暮らし。それぞれの場所を巡る中で、しらやまの持つ多面的な魅力が少しずつ見えてきました。

特に印象的だったのは、自然体験の豊かさです。
キャンプ場や清水、滝など、子どもが自然の中でのびのび過ごせる環境が整っている。この体験は、ファミリー層にとって大きな価値になる可能性を感じました。自然の中で遊び、学び、育つ時間。それが親の心を動かす要素になるのではないかという仮説も、この時点で生まれていきました。


2日目:対話から価値を見つけるワークショップ

2日目は、地元の振興会の方や住民の方、約20名にご参加いただき、対面でのワークショップを実施しました。

目的は、外から魅力を決めるのではなく、地域に住む方々自身の言葉で「しらやまらしさ」を見つけていくこと。誰もが参加しやすい形で、少しずつ言葉を引き出していく設計にしました。

まず行ったのは、「しらやまの好きなところ」を付箋に書き出して共有するワーク。
身近なことから話し始めることで、自然と会話が生まれていきます。

その後は、強み・弱み・チャンス・ピンチをやさしく整理するSWOT分析ワークを行い、地域の現状を客観的に見つめ直しました。

さらに、「どんな人に訪れてほしいか」をテーマにペルソナを考えるワークも実施。来てほしい人の年齢や家族構成、価値観などを想像しながらプロフィールを作ることで、地域の未来像を具体的に描いていきます。

楽しみながら、少しずつ共通認識をつくっていく時間です。


参加者の声から見えてきた、地域の強み

ワークの中で印象的だったのは、教育や子どもに関する話題が何度も出てきたことでした。

「ここで育った子どもは勉強ができる。東大に行く子も多いんです」
そんな言葉が自然と出てくるのも、この地域ならではの誇りのように感じました。

また、自然が豊かで、地域の大人みんなで子どもを見守る文化があること。
その環境の中で、自発的な子どもが育っていくこと。
そして、子どもがいることで地域が元気になるという実感。

住民の方々の言葉から、しらやまの持つ本質的な価値が少しずつ輪郭を持ち始めていきました。


オンラインとリアル会場を繋いでワークショップを開催しました。進行にも力が入ります(代表:吉田)

フィールドと対話から見えた可能性

現地を歩き、人の話を聞き、対話を重ねる中で、ひとつの仮説が見えてきました。

この地域は、自然の中で子どもがのびのび過ごせる場所として、大きな可能性を持っているのではないか。
実際に、不登校の子どもの受け入れなど、子どもを支える取り組みも行われています。

挑戦する大人が多く、子どもを地域全体で育てる文化がある。
その姿は、教育や子育てという視点でブランディングしていく可能性を感じさせるものでした。

ただ自然があるだけではなく、そこに暮らす人の姿勢や価値観こそが、地域の個性をつくっているのだと実感します。


地域ブランディングは、現地から始まる

今回のプロジェクトで改めて感じたのは、地域の価値は外から与えるものではなく、すでに内側に存在しているということです。

その価値に気づき、言葉にし、共有していく。
そのためには、実際に現地に入り、同じ空気を吸い、対話を重ねる時間が欠かせません。

フィールドリサーチと対面ワークショップを通して見えてきたのは、しらやまという地域が持つ可能性の輪郭でした。ここから、言語化やコンセプト設計へとつながっていきます。

地域の魅力を一緒に掘り起こし、未来の方向性を見つけていく。
そのプロセス自体が、地域にとって大切な資産になるのだと感じた2日間でした。

このプロジェクトは、ここから形になっていく

今回のフィールドリサーチとワークショップで見えてきたのは、しらやまという地域がすでに持っている価値の種でした。

この場で生まれたペルソナ像やキーワードをもとに、次のフェーズではユーザーインタビューを実施。地域の外から見た魅力や、実際に訪れる人の視点を重ねながら、しらやまの輪郭をさらに深めていきました。

その後はオンラインでのワークショップも重ね、言葉を磨き、方向性を整理。
そして2025年には、ロゴやホームページの制作へと進んでいきます。

対面での対話から始まったこのプロジェクトが、どのように形になり、地域のブランドとして育っていったのか。
次回の記事では、そのプロセスと、実際のアウトプットが生まれるまでの裏側をお伝えしていきます。

この記事を書いた人

神奈川県川崎市のブランドデザイン会社「株式会社ドマノマド」代表取締役。2012年に富士通に入社し、8年間プロダクトデザイナーとして従事。2年連続で保活に敗れたことをきっかけに自宅を子どもと働けるシェアスペースにして起業。女性・ママデザイナーのためのスクール事業、ブランドデザイン会社としてロゴやホームページなどのブランドデザイン制作事業を展開。

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