「三丁目ノ夜様」新宿三丁目の会員制バーのロゴデザイン制作|東京都

目次

新宿三丁目 会員制バーのトータルブランディング事例

新宿三丁目にオープンする会員制バーのブランディングとロゴデザインを担当しました。オーナーはイベント会社を経営されている代表の方で、エンターテインメント業界の方々が自然と集まる社交の場をつくりたいという想いからスタートしたプロジェクトです。クリエイターやイベント関係者、業界人が集まり、仕事の話だけではなく文化やアイデアが生まれる場所になることを目指し、ブランド全体の世界観づくりからデザインを行いました。

新宿三丁目の会員制バーのブランディングコンセプト「SPEAK EASY」

今回のバーのコンセプトは「SPEAK EASY(スピークイージー)」です。これは1920年代のアメリカ禁酒法時代に存在した秘密の酒場文化から生まれた言葉で、表向きには存在しない扉の奥に広がる特別な社交場を意味しています。合言葉を知る人だけが入れる秘密のバーには、文化人やアーティスト、ビジネスパーソンが集まり、静かにお酒と会話を楽しみながら新しい文化や関係性が生まれていきました。今回のバーもまた、知る人ぞ知る場所でありながら、クリエイティブな交流が生まれる社交場になることを目指しています。そうした歴史的背景も踏まえ、ブランドの世界観を構築していきました。

バーのブランド世界観を作るためのコンセプト提案

ブランディングではまず、バーの世界観を方向付けるために複数のコンセプト案を提案しました。その中から選ばれたのが「ブラッドムーン」というコンセプトです。ブラッドムーンとは、月が赤銅色に輝く天体現象のこと。夜空に浮かぶその姿は、日常とは少し違う特別な時間の訪れを感じさせます。ブラッドムーンには、新たな始まり、人間関係の真実、創造性の爆発などの意味があるとも言われています。地球から発せられた赤い光だけが大気を突き抜け、まっすぐ月へ届くことで幻想的な天体ショーが生まれる。その光は、エンターテインメントに魅せられた人々の心にもまっすぐ届くのかもしれません。このバーが人と人の縁を照らし、新しい物語が生まれる場所になるようにという想いを込めて、この世界観がブランドの核となりました。

ムードボード(コラージュ)で世界観を表現

ロゴデザインの方向性を決めるためのラフデザイン提案

ロゴデザインの制作では、最初に約7案のラフデザインを提案しました。単なる形の違いではなく、それぞれの案に明確なストーリーとコンセプトを持たせています。秘密の紋章のようなロゴ、月をモチーフにした幻想的なデザイン、トークンやコインを思わせるクラシックなロゴなど、バーの世界観をさまざまな角度から表現しました。ロゴは単なるマークではなく、そのブランドが持つ物語を象徴する存在です。そのため形のバリエーションではなく、意味の違いを伝える提案を意識しています。ストーリーを伴った複数の提案の中から、ブランドの方向性に最も合うデザインを選定していきました。

「見ざる聞かざる言わざる」から着想した猿モチーフのロゴ

最終的に選ばれたロゴでは、猿をモチーフにしたデザインを採用しました。猿は「見ざる・聞かざる・言わざる」という言葉でも知られており、そこから着想を得て秘密を守る象徴的な存在としてロゴに取り入れています。さらに猿には三日月、シルクハット、パイプを組み合わせ、ミステリアスでクラシックな雰囲気を表現しました。三日月はブラッドムーンの世界観を象徴し、シルクハットとパイプはかつての社交場や舞台文化を表しています。ロゴの装飾には1920年代のアール・ヌーヴォー様式の装飾表現を取り入れ、クラシックな雰囲気と非日常の空気感を演出しました。知る人ぞ知る場所という世界観を視覚的に表現したロゴになっています。

秘密の社交場を象徴するコイン型ロゴデザイン

最終的なロゴはコイン(トークン)をモチーフにしたデザインになっています。これはニューヨークの伝説的クラブ「The 21 Club」で常連客にトークンが配られていたという文化から着想を得ています。秘密の社交場に集う人々が持つ特別な印のような存在として、ロゴ自体をコインのような象徴的なデザインにしました。まるで会員だけが持つ秘密のコインのようなイメージで、バーのブランドを象徴するアイコンとなっています。

バーの世界観をブランドとしてデザインする

今回のプロジェクトでは、ロゴデザインだけではなくコンセプト設計や世界観の構築まで含めたブランディングを行いました。バーという空間は、単にお酒を飲む場所ではなく人が出会い、物語が生まれる場所でもあります。そのため空気感や文化、ストーリーまで含めてブランドとして設計することが大切だと考えています。新宿三丁目に生まれる新しい秘密の社交場。この場所から、また新しい出会いや物語が生まれていくことを願っています。

この記事を書いた人

神奈川県川崎市のブランドデザイン会社「株式会社ドマノマド」代表取締役。2012年に富士通に入社し、8年間プロダクトデザイナーとして従事。2年連続で保活に敗れたことをきっかけに自宅を子どもと働けるシェアスペースにして起業。女性・ママデザイナーのためのスクール事業、ブランドデザイン会社としてロゴやホームページなどのブランドデザイン制作事業を展開。

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